仕事の帰りにちょっと畑に寄って、少し佇んで帰るのが最近の日課。
土の濡れ具合や、その日の温度などを見る。
ビニールを掛けたばかりでしっかりと水をやり、温度は高め。
だいぶ日が長くなってきたが、私が畑に着く頃はもう真っ暗。
真っ暗な中にいるのも悪くないが、今夜は照明をつけてみた。
芽吹いて、棚にも緑が広がるとなかなか素敵な眺めになる。
昔、父もここで電気をつけてタバコを吸っていた。
その頃は、家でタバコを吸うとみんなに嫌がられるから、ここにきて存分に煙を燻らせていたいんだろうと思っていた。
私はタバコを吸わないが、ここに着たくなる気持ちは少しだけわかるようになった。
どうだい?少し暑かったかい?そろそろ芽吹く準備だよ、なんてぶどうに話しかけてみたりする。
まだ、お前たちの声は聞くことができないんだけどさ、毎晩、話しかけてみるよ。