ぶどう園日記

父と子

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少し前、仕事を終えてから息子と晩飯を食った。

ハウスに取り付けた防犯カメラのセットアップのことで打合せをするのに吉塚駅で待ち合わせた。

なんか食うか?

「いいね」

駅前のお好み焼き屋に入り、話しながらじゅうじゅういっているやつを二人で食べた。

カメラはどういうのが良くて、それを端末にどういうふうに繋ぐのか。

こういうのは私が大変苦手とするところ。

これを息子が支えてくれた。

少し情けない親父なのかもしれないが、我が子に支えてもらえる、ということがこんなにも嬉しいことかと思った。

私は田川で育ち、今もここで暮らしている。

息子は、小さい頃から頭の回転がはやくて、周りからちょっと浮いているところがあった。

環境を選ばず、今あるもので前に進む力をつけるには、ここで育てるのが良いと思っていた。

少し荒れていると知りつつも、あえて地元の小中学校にやった。

今になって、もっと良い環境で彼の個性を伸ばしてやれる方法があったんじゃないかと、思ったりする。

そのことを息子に伝えると、

「別に不満はないし、大学までやってもらってありがたいと思ってる。」

彼は中学校から高校に進学した時に、静かに授業が聞けることに驚いたそうだ。さらに、大学受験に失敗し、予備校に通った際も、これほどに勉強に打ち込める環境があるのかとさらに驚いたという。

自分に子供が出来たら、そういう環境を作ってあげたい、とこれからのことを話した。

そうか。

私は間違っていたんだろうか。

彼の顔を眺めながらぼんやり思う。

わからない。

考えても答えはないだろうし、彼との比較があるわけでもない。

学べる環境が大切なことを知り、与えられないことを憂うのではなく、自分で取りに行くことは身についている。

それでいいんじゃないかな。

こいつが子供を持ったらまた、話を聞いてみよう。

さて、今日は人間ドック。

その時までは長生きしてないとね。

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