思いがけないお声をいただいた。
退職にあたり普及指導員の研修会で講演をして欲しいとのこと。
しかも、果樹担当の研修会だ。
普及指導員には、野菜や水田農業、花、果樹などそれぞれ専門があってそのジャンルごとに勉強会をやったり技術検討会をやったりする。
私が果樹の担当をしたのは31年前の駆け出し5年、それから晩年に京築でやった一年だけ。
なのに果樹担当の末席に据えていただけるとはありがたい。
果樹よりも経営や販売の事に関わった時間の方が長かったので、あえてそちらの話をさせてもらった。
最後の普及指導員をやった京築普及指導センターでやった6つの仕事。
①酒米「夢一献」の推進
②「けいちくチャリ散歩」で車じゃないお客さんいらっさい大作戦
③キウイフルーツ「甘うい」の京築を福岡県一大産地化大作戦
④川底柿の干柿導入による農業経営向上
⑤上毛町レモン産地化大作戦
⑥農家の経営改善を見える化大作戦
一年ごとにやるぞと決めたことをしっかり形にして成果を出す。
この6年でやり切った。
だから県職員に後悔なし。
次のステージへ。
農家になって農業経営をやる。
誰のものでもない、わたくしの経営を思い通りにやる。
まずはこれ。
その先には地域農業の経営だったり、会社経営だったり次のステップも用意されている。
思いの丈をしっかり皆さんに伝えることができた。
研修会の後、居酒屋で送別会もやっていただいた。
ブーケもらうとかうれち?
飲んでいると、ある普及指導員が隣にやってきた。
「今夜はしめしまさんに謝りたいと思って来たんです」
5年前、私は普及指導員の協議会の会長に立候補した。
しかし、その時の人事異動でライン職に昇格したため、規定により会長ではなく副会長に就いた。
会長をやってくれないか、俺と一緒にうちの組織に革新を起こさないか、と直談判したのが彼だった。
残念ながら彼はその申し入れを断った。
その事を詫びたいのだという。
「あの時、私はしましまさんの真意を受け止められなかったんです。でも、今はわかります。だからその事を謝りたくて。」
そうか。
私は君にこの取り組みを一緒にやりたかった。そして、君の名を県中に轟かせたかった。
でも、それをちゃんと伝えられなかったのは私のせいだ。
「これからもよろしくお願いします」
そうね。
同じ世界にいるんだから。
これからもよろしくね。
今夜は珍しく酒を飲んだ。
たまには酔ってみるのもいい。
思いっきり美味しい酒だったな。