ぶどう園日記

たかしくん

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たかしくんが逝った。

私とたかしくん、かおりちゃんは、3歳から一緒だった。

幼稚園、小中高と同じ学校に通った。

たかしくんの家族はいつも私を暖かく迎えてくれ、私はこの家の子のように育ててもらった。

たかしくんが逝ってしまった。

2020年に食道がんが分かり、闘病後一度は仕事にも復帰し、山登りや家庭菜園での畑仕事にも汗を流すまでに回復していた。

しかし、その後転移が見つかり、悪化したのだという。

それでも一昨日の朝までは会話もできていたのだが、容態が急変し逝ってしまった。

病気が病気だけにご家族は少なからず覚悟をしていたそうだが、本人は「まだまだやりたいことがたくさんある」と、生きることに全力で取り組んでいたという。

中学生の時に福智山や英彦山、香春岳に出かけた。

高校に入ったら山岳部に入ろう‼️

二人で山岳部に入部して、あちこちの山に登った。

たかしくんは山岳部を途中で辞め、それから二人は疎遠になっていった。

辞めた理由は分かっている。

あの時、引き留めていたら。今でもそう思ったりする。

高校の後半、殆ど話すこともなかったのだが、卒業間際に仲直りをした。

疎遠だった間、二人とも話をしたかったが言い出せず、腕組みをしていたのだ。

社会人になってからもたまには会って、酒を飲んだ。

今から10年ほど前、小倉で会おうと約束をしたのだが、彼は現れなかった。

何度か携帯に電話したが、彼が出ることはなかった。

何かあったのだろう。

もしかしたら、私に会いたくないのかもしれない。

忘れたとかすっぽかしてそのままにする男ではない。

また、連絡してくるまで待とう。

そのまま、連絡はなかった。

もう、何があったのか、その理由を聞くことは叶わなくなってしまった。

彼の棺に手をおいて、少し話をした。

おまえがやりたかった事って何か?

祭壇の傍には登山の本が二冊。

彼が登山をしていたのは意外だった。

あの時、山岳部を途中で辞めてしまったことを埋めたかったんか?

奥様とも話した。

「病気に勝つために山に登っていました。免疫力を上げるって。」

子供の頃、山の生命力に魅せられ、バカみたいにあちこち登っていたよな。

そうか。

俺が連れて行ってやるよ。

一緒に登ろう。

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