種無し品種のぶどうは、シャインマスカット、クインニーナ、トゲトゲそしてBKシードレス。
種無しにするためには、ジベレリンという薬を二回使う。
一回目は種をなくすため、そして二回目は種がなくなった果実を大きくするために処理する。
ぶどう達は美味しいぶどうを実らすためではなく自身の子孫、つまり種子を育み、我が種を繁栄させるために生きている。
一回目のジベレリン処理で種がなくなると、ぶどうは「種がなくなったのね、ざーんねん」と思って果実を大きくするのをやめる。
植物が「思う」という行為は、私達と同じでホルモンが司る。
やらなーいと思うとは、ホルモンを分泌しない、という事になる。
それならば、とそれに代わる事を人間がやってあげなければならない。
それが、二回目の処理。
今週から一回目のジベレリン処理を始めた。
これらの種無し品種の中で一回処理でいいのがBKシードレス。
BKは、三倍体といって染色体の構造が奇数のため、先天的に結実できない。
ただ、そのままだとちっこい果実のままなので、一回だけジベレリン処理を行う。
ぶどうは花弁が開かず、キャップ状の花弁が取れて開花する。
BKは、開花のあとこのキャップがカスとなって果実から外れにくい。
時間を置くと取れていくのだが、そうするとジベレリン処理の適期を逃してしまう。
花カスがついたままジベレリン処理をやるとどうなるのか。
その部分だけ薬液が乾かず、薬が効きすぎて果実にキズが着いてしまう。
昨年までは、時間内にやらないと作業が終わらないので、ジベレリン処理した後に花房をピン、ピンとデコピンしておおかた花カスを飛ばしていた。
十分ではなく、どうしてもキズ果粒が発生した。
今年は‼️
ジベレリン処理の前に、ハケを使ってほわほわっと優しく花房をなでて花カスを完全にとり除き、処理をした。
一房一房、べっぴんさんになれよ、と声をかけながら、ほわっほわっと撫でていった。
今年はね、一房一房、ぶどうに話しかけながら栽培ができる。
これ、本当に幸せな気持ちになる。