県庁に入庁したのは平成4年4月のこと。
初日は研修所で入庁式があって、その翌日は本庁に赴き、赴任地である嘉穂普及所に吉塚駅から電車で向かった。
嘉穂普及所には、私ともう一人新規採用者が赴任した。
吉田くん。
二人で希望に胸を膨らませ、電車に揺られながらまだ見ぬ職場の話をした。
もう32年前のことだが、今でもあの時のことは忘れない。
吉田くんとは5年間一緒に仕事をした。
仕事に全力な吉田くん、遊びに全力な手嶋。
彼はいつもまっすぐ、全力だった。
その5年間のさき、職場が一緒になることはなかったが、一番若い頃の時間を一緒に過ごした吉田くんは兄弟みたいな、幼馴染みたい。
どこにいても、声に出さなくても、どう?元気かい?と笑顔を見れば通じ合う。
その吉田くんが逝ってしまった。
くも膜下出血だった。
昨日の通夜と今日の葬儀に出かけた。
会場の入り口に生前の写真が飾られていた。

スキーに行ったね。
海に泳ぎにも行った。
若宮の駅伝で入ったよな。
お前、変わらんなー♪
俺はだいぶおいさんになった。
そんなふうに話しながら二人で見だんだろうな。
きみの葬儀で、こんな形でとは。
寂しい。
喪主の奥さんから、最後まで力いっぱい生きようとした彼の最期を聞いた。
頑張ったんやね。
きみらしい。
また。
またね。
俺はもうちょっと頑張る。